Netflix『BEAST -私の中の獣-』感想 – ホームランドの亡霊はまだ生きている

Netflixのリミテッドシリーズとして2025年11月に配信開始された本作は、プロデューサーがホームランドのハワードゴードン、主演はクレア・デインズとホームランドファンにはたまらない作品となった。若干ネタバレ含みます。ご注意ください。

クレア・デインズが演じるのは「アギー・ウィックス」という作家。「病める子犬」という本でピューリッツァー賞を獲った人気作家だが彼女は息子を亡くし、作品が書けなくなってしまっていた。

ちなみにホームランドの最後にキャリーが書いた本が自身の告発本で、今作では詐欺師の父親について書いた自叙伝を書いているのは味わい深い。

ドラマの冒頭に登場したアギーは知的で独り立ちしている女性だったが、徐々に ”あの“ お騒がせな部分が頭角を表してきて懐かしく思えた。

ホームランドという長いシーズンで双極性障害というキャラが強烈だったので、本作も回を増すにつれアギーなのかキャリーなのか既視感を覚えた。アギーもキャリーも精神的なバランスを保つのに苦労する。独特な「危うさ」を持ち合わせたキャラクターだった。

舞台となるのはニューヨークの東に位置する大きな島ロングアイランドの北部の港町「オイスターベイ」。田舎の方かと思って見ていたら、ニューヨーク郊外の富裕層向けのベッドタウンのようだ。アギーはシェリーという画家の女性と同性婚をしていて、息子の死をきっかけに離れてしまった。

アギーは感情的でシェリーは対照的に落ち着いた考えを持っているような人物だった。ホームランド的にシェリーはキャリーの妹のような感じに見えた。物語は隣に越してきた男性「ナイル・ジャーヴィス」の登場で静かに動き出す。

彼は資産家で傲慢。世間から妻を殺めたのではないかと疑いをかけられている人物。明らかに怪しく最初から「こいつが犯人」と言ったところであった。頭がよく話が上手い、ボスキャラ的ではなく普遍的な感性でいてどこかがおかしいそんな人物だ。

サイコパスという表現を内面で表しているような演出なのかもしれない。まさに私の中の獣。しかしそんな彼にアギーは徐々に興味を持っていく。

側から見れば「アギー!そっちじゃない!」と突っ込みたくなるところだが、色んな意味で惹かれていった。謎に満ちたブロリーに惹かれていったように…

そして彼女は彼を題材に再び本を書き始めるのであった。

少し気になった点がある。
ある夜、ブライアン・アボットというFBIの捜査官がアギーの家に突然現れる。彼は隣人のナイルの危険性を警告して去った。このアボット捜査官の存在が少し薄く謎だった。もっと深く絡んでくるのかと思いきや突然退場となった。

あくまでもこのドラマは「アギーとナイルの心理的な駆け引きの話」ということだろうか。しかしクレア・デインズの演技はやはり面白い。表情や感情の起伏がリアルで見ていて飽きない。

淡々と不気味に進んでいく見応えのあるドラマであった。

ちなみにホームランドのピータークイン役のルパートフレンドは今や超売れっ子となっていて、ウェス・アンダーソンのアステロイドシティにも出演し、新しいジュラシックパークの主演です。


同じく主演した「ある告発の解剖」もオススメドラマなので是非。

ホームランドの感想などはこちら↓


スズキロク
白と水色のカーネションのすずきりょうたのブログ。お知らせやなんでも記録。
@RYOTA_SUZUKI