【レビュー】Netflix「ある告発の解剖」- 特権階級の性加害を扱った法廷ドラマ

Netflixリミテッドシリーズ「ある告発の解剖」(原題:Anatomy of a Scandal)を観た。エリート政治家のジェームスをルパート・フレンドが、その妻のソフィーをシエナ・ミラーが演じています。ルパート・フレンドはホームランドのクイン役で自分も大好きな役だったのでまた新たな一面を観る事ができてよかった。全6話の構成です。

舞台はイギリス、結婚して12年子供が2人、政界で最もモテる男が若い助手の女性と約5ヶ月間の間、関係を持ってしまいそれがニュースになるという内容で。英国の上流階級と政治エリートの暗部を掘り下げ、権力、性別、そして正義に関する複雑な問題を浮き彫りにします。視聴者は、真実と偽りが交錯する世界で、一つの告発がどのようにして多くの人々の運命を変え得るのかを目の当たりにします。

ジェームスはただの火遊びだったと方々に謝罪するも女性はレイプされたと告訴する。実際にどの程度何があったのか?合意はあったのか?双方の意見が食い違う。そこから何十年も前の出来事や政界を巻き込んだ一大事にまで飛び火していく。法廷では男性側の視点、女性側の視点のそれぞれがはっきりと演出されている。その何十年も前の出来事のシーンで使用される楽曲が前回のこれまた(Netflix「ザ・クラウン」のレビュー)BlurやPulpなど自分の学生時代の楽曲で時の流れを感じるとともに、

このドラマの主人公達は自分と同世代くらいの設定なのかと改めて考えさせられる内容だった。昨今、日本でも騒がれているダウンタウン松本人志氏の女性問題にも共通する部分が多くあり、感情移入しやすい内容なのかなと思う。裁判によって有罪が確定するまでは無罪であると推定されています。しかし有名人ともなると記事になったことで即断罪されてしまい様々なところへ飛び火していく。

個人と公共の道徳、信頼と裏切りの間で揺れ動く人々の心理的な葛藤を巧妙に描き出していてとても見応えのある作品だった。一点、ジェームス・ホワイトハウスという名前が多少紛らわしい部分があったがこれは作者の意図的なものだろうか。重厚でかなりの良作でした。


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