【レビュー】映画『ナミビアの砂漠』感想

ふとYouTubeを立ち上げるとおすすめ欄に出ていた砂漠で動物が水を飲んでいるライブコンテンツ。我々は「ふと」それを眺めそっと閉じる、しかし動物たちは見られていることも勿論知らないし、何より水を求め生きることに必死な様子。

『ナミビアの砂漠』は「ふと」誰かの日常を見ている様なそんな映画だった。なので何が言いたいのかわからなくて良いのだと思った。

監督、脚本は「あみこ」の山中遙子、主人公はカナ(河合優実)、カナはホンダ(寛一郎)という恋人がいながらハヤシ(金子大地)とも付き合いを始める。ホンダは不動産会社のサラリーマンで真面目で優しくなんでも受け入れてくれるタイプの男性で、ハヤシはクリエイタータイプでホンダとは逆のタイプのこちらも優しい男性。なかなか別れを切り出せなくてずるずると続く関係、ホンダの優しさもどうかと思うがカナにとっては別れる理由も特になく、「ホンダが出張で風俗に行ってしまった」ことを聞きホンダの前から姿を消した。口実を探していたのだろう。

ハヤシと生活する様になるも、喧嘩ばかりでうまく噛み合わない。個人的にこのハヤシタイプのライフスタイルに心当たりがあり…。共感してしまう部分もあり面白かった。一緒に暮らす前の距離感がベストだったんだと思う。全部は共感できないがどこか人間ぽい不思議な魅力があるのがすごく良かった。

ホンダ役の寛一郎もかなり気持ちの悪い演技でとても良かった。地面に倒れて泣いた姿はこの映画唯一の笑いどころだったと思う。河合優実と金子大地の喧嘩もふざけているのか本気で喧嘩しているのかわからないところが面白い。まさに砂漠の動物たちを見ているような感覚だった。オススメです。


スズキロク
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