クリントイーストウッドの最新作。ある女性が殺害された事件をめぐる法廷劇で罪に問われているのは恋人の男性、このカップルのがある晩、バーで酒を飲み口論になる。女性が店から飛び出して男性が追いかける、店の外で激しい口調で言い合い女性が一人で雨の中帰宅する。その後女性が橋から転落して死亡しているのが発見された。
法廷ではバーにいた人たちの証言とタイトルにもある無作為に選ばれた陪審員たちが評決を議論する。しかし、その陪審員の中にそのバーにいて、同じ晩に車で鹿を跳ねたなっている、陪審員2番で今作の主人公ジャスティン(ニコラス・ホルト)がいた。
陪審員は男に対してどんな評決を下し、ジャスティンはどんな未来を選択するのか?というのがストーリーの流れ。
シンプルでわかりやすい題材をここまで深く作品に落とし込めているのが、この作品の優れたところだと思った。例えば男と女がバーから飛び出して喧嘩をするシーンが女性視点と男性視点、外野のスマホで撮影している人では微妙に違っていた。SNSの印象操作の手法をサラッと演出していて惹き込まれる。弁護士の弁護する側、される側のそれぞれ正義の定義と陪審員たちそれぞれが抱えた事情などが織り混ざり、中盤以降もゆっくりとスリリングな展開が続く。
正義と自己保身、クリントイーストウッドは本作で司法制度の欠陥を厳しく批判している。引退作とも言われているがどうなのだろうか。
【以下少しネタバレ含みます】
個人的に思ったのはジャスティンは本当に女性を轢いてしまったのだろうか?轢いたのは本当に鹿だった可能性もあったと思う。そのあたりの確証が曖昧なまま続くのは視聴者なりの正義の在り方を問われているからなのだろうか?罪に問われている男性も自身の真実に対してもっと毅然と入れなかったのだろうか?男性の心情がよくわからない点であった。
ラストも女性弁護士の表情が全ての答えなのかな?とても見応えのある映画らしい映画を観た気分でした。
スズキロク
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