アメリカのレイプ被害を扱った、実話を元にしたドラマで全8話のNetflixリミテッドシリーズ。ストーリーはかなり重くドラマというより、ドキュメンタリー作品を観ているようだった。被害者や被害者の周辺に起こる出来事、警察の在り方などドラマによってうまく問題提起された作品でした。
18歳のマリーが深夜自室で覆面の男にレイプをされる、警察Aに状況を説明「レイプをされた」と話す。警察B、C…と次々に同じような質問をされる、その中で状況説明が変わっていき、結局レイプはでっち上げだったとマリー自ら証言する。警察はマリーを訴える。ドラマ序盤はマリーは本当にレイプをされたのか?という展開が始まる。
数年後、同様の事件が別の州で起こるそこで登場するのがカレンとラスムッセンという2人の女性刑事。マリーが本当にレイプされたのであれば、その何年もの間ずっと被害者のままだ。女性刑事のレイプ事件とマリーのレイプ事件の点と点がひとつの真実へと結ばれていくそんな話でした。ちなみにマリーの元養母ジュディス(エリザベス・マーベル)はHOMELANDで女性大統領のキーンを演じています。ハウスオブカードにも出ていました。ラスムッセン刑事は熱血官、カレン刑事はうちに秘めるタイプの役柄でしょうか。今まで見てきたドラマで登場人物にここまで女性が多いドラマは初めてでした。ドラマの中でマリーがゾンビ映画を自分の境遇になぞらうシーンがあります。ゾンビ映画において生き残る人間が何に優れているのか?それは強く勇敢で諦めないことと、誰を信じれば良いのかを見極めること。人間は混乱の中で人の弱みに漬け込む、そういった人間を見極めること。ゾンビのいる世界でで一番怖いのは人間であるということ。
マリーの場合、幼少期から親から虐待を受けており、里親を転々としていた自らの境遇から、誰かを信じることよりも、誰にも迷惑をかけず、レイプされた事実をウソをついてでも自分の中に閉じ込め、誰かではなく自分を守るという心理が次第に大きくなっていってしまう。というより、このシリーズで戸締り以外にマリーに落ち度は全くみられなかったと思うのだが…。二度犯罪に巻き込まれるとは、このドラマでまさにマリーに起きていることだと思いました。被害者の心理や被害者の周りで何が起こるのか、とても勉強になる良いドラマシリーズだと思いました。
このシリーズの中でマリーが笑ったのは一度だけ。それがどんな場面なのか….アンビリーバブルを是非ご鑑賞ください。一点、日本語吹き替え版はお勧めできません、言葉のニュアンスやジョーク的なものが字幕と違っている箇所が多く感情移入できなかったので字幕版をお勧めします。
スズキロク(字獄の鈴木録)
白と水色のカーネションのすずきりょうたのブログ。お知らせやなんでも記録。
@RYOTA_SUZUKI