【レビュー】「マーズ 火星移住計画 MARS」を観て考える宇宙

「MARS 火星移住計画」というナショナルジオグラフィックが制作したドラマをnetflixで観ました。ドキュメンタリーとドラマが交互に合わさった、珍しい形の海外ドラマで現在シーズン2まで6話づつなので観やすい。ハリウッドの大作SF映画と比べると若干のチープさがありましたが、そこが逆にリアルで面白く「火星で生活をするためには」を今のテクノロジーで考えたドラマでした。(以下若干のネタバレを含みます)

2033年人類はついに火星に足を踏み入れるというところから始まる。今科学的に考えられることや現代が抱える問題を基にドラマ部分が進み、インタビュー形式で著名な科学者やエンジニア、作家、スペースXのイーロンマスクやNASA長官のチャールズボールデンなども登場する。2033年というのはNASAが2033年までに火星の有人探査を目標にしていることから着想されているのだろう。スペースXは2024年を目標にしているがどうなるのでしょうか。そう言った現在分かり得ることから物語が進む。当然イカやタコのような火星人や怪獣は出てこない。

シーズン1では「IMSF」というNASAのような公的機関のロケットで各分野の科学者、エンジニアの10名ほどが火星に足を踏み入れ、資源を探し、環境適応に努め、ここが本当に移住可能な星なのか、割と原始的にことを進めていくのが見どころだと思う。シーズン2からは地球からの新たな民間企業「ルクラム」が競合企業として現れ、企業間の争い、資源戦争や人間関係のもつれが出てくる。この辺りがシーズン1とは違いハラハラドキドキ別次元の人間ドラマを見せられているようで、好き嫌い分かれるかもしれない。

地球から火星までは約7ヶ月。1年の半分以上を宇宙の無重力の中にいることや狭い宇宙船での生活による肉体的、精神的な影響、またその後の火星での生活も同様に狭く不自由で日の当たらない地下生活。この窮屈さがリアルでなかなか面白かった。何が起きても不思議では無い宇宙空間で7ヶ月…冬眠させて欲しい。飛行機でさえ何日も乗ってたらきついでしょ。そしてその7ヶ月のちのホームシックならぬ、アースシック…。火星に移住した人々は地球にいたことを懐かしみ、海の音や緑の景色を思い出そうとする。人間が地球以外の惑星での暮らす意味って何なんだろうか?そんなことを考えながらドラマが続いていくのが楽しい。

例えばブラピ主演の映画「アド・アストラ」では月や火星で地球人が暮らしていて、建物や宇宙船、宇宙服の造詣が惑星の環境やカラーに適していて、非常にアーティスティックで美しく見事であった(ストーリーは…)、ただしそれは不自由さが取っ払われた上での美しさのようにも思えた。「マーズ」のように狭く窮屈な空間が現実的な気がした。ちなみに「マーズ」は2017年に「Saturn Award(土星賞)」というものを受賞している。

現在、猛威をふるう新型コロナですが、こちらのシーズン2ではあることがきっかけで未知のウイルスが発見され、感染が発生します。換気すらままならない火星の小さなコミュニティではもはや地獄です。人類が活動域を広げるたびに新たな病原体が発見されてきた事象などもインタビューパートで聞くことができます。


スズキロク(字獄の鈴木録)
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