【レビュー】Netflix「ザ・キラー」- The Smithsを聴きながら自問自答するヒットマン

デビッド・フィンチャーの最新作「ザ・キラー」を観ました。前作の「Mank」から約3年、Netflixで2023年11月20日から配信が開始された本作。脚本は「セブン」「ファイトクラブ」のやアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーで主演はマイケル・ファスベンダー。音楽はトレントレズナー。今作は主人公クリスチャンが聞いているThe Smithsの楽曲が全編にわたって使われていて、音楽を耳で『聴いている』『聴いていない』で音が遠くなったり近くなったりする。

主人公はヒットマンという設定なのだが、バンバン撃ち殺すようなシーンはなく。ヒットマンという自分が日々何と戦っているかの方が大きい作品。なのでずっと主人公の心の声で物語が進んでいく、実際他の人と会話してるシーンあったかなと思うほど、心の声が大きい。しかも映像は展開が早く一体何が行われていてどんな人間関係かも語られないまま進むのでかなり斬新。

冒頭いきなりミスを犯すので。この主人公が今までどんな仕事をしてきたのか、どれだけ凄腕のヒットマンなのかもよくわからないので、この人はめちゃくちゃ情けないヤツなのでは?と思ったりもする。モリッシーの詩に酔いしたりながら、仕事ができない情けない一人のヒットマンが自問自答してる姿は滑稽で魅力的な人物だと思った。

そんな初っ端のミスを挽回すべく行動するのだが、とある大男の家で暗闇の中行われたアクションシーンがスピード感があって見応えがあった。暗闇の中で一瞬映る拳や凶器なんかがゲーム感覚というか、とにかく見応えのあるシーンだった。仄暗く不気味な質感と多くは語らない展開が面白かった。


スズキロク
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