金曜日, 3月 29, 2024
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【レビュー】映画「怪物」- それぞれの感情で見える景色も違う ※ネタバレあり

映画「怪物」はできるだけ前情報なしで一度見ることをオススメします。監督是枝裕和、脚本坂元裕二、主演は安藤サクラ、永山瑛太で音楽は坂本龍一。既存の楽曲もありますが坂本龍一の遺作ともなった。

同じ時系列を関わるそれぞれの人の視点で進んでいく、何の情報なく見たら何かモンスター的なものが出てくるんじゃないかと思うくらい不気味でホラー映画のような映像になっている。人物の背景など描かれていない部分があったので、観終わった後に小説版も購入し情報を補完した。個人的には映像には見えていない背景の音や声がとても面白いと感じた。「こちらの視点」で鳴ってた音が「あちらの視点」でも聞こえたりと続けて何度も観てしまった。しかも「こちら」と「あちら」の同じ音でも互いの心理描写が異なるため聞こえ方が全く違う。これは本当に不気味な演出で良かった。

★ここからネタバレ注意—————————————————————————————-

保利先生(瑛太)の描写で気になるところがあったので考えてみた。序盤、母の麦野沙織視点では、息子(湊)への教師のいじめを疑い学校へ向かう。校長室で保利先生や校長などからとても形式的な対応を受け激怒する。「保利」の態度に対する視聴者の受け止め方は沙織同様にかなり腹ただしいものだった。

なるほど「怪物」とは湊の心の闇=学校への不満のような図式かと。しかし保利視点では保利への印象がめちゃくちゃいい先生へとガラッと変わる。聖人保利ターンが続いてもらいたいと思う一方、めっちゃいい人の展開からの怪物=保利か?と勘繰ってしまう箇所。すごいと思ったのは「こちら」と「あちら」の話で「同じ音でも互いの心理描写が異なるため聞こえ方が全く違う」という部分。これが保利の演技でも見ることができる。

例えば沙織が校長室へクレームを言いに行った場面、説明会のシーンでは沙織視点と保利視点では同じタイムラインなのに保利の演技が違う。

沙織視点、これは母の怒りの感情を表していてうちの息子にこんなこと言うやつはとんでもない奴の「とんでもない奴」が目の前に現れたシーンだ。下を向き、ボソボソと形式的な受け答えと突然飴を舐める保利。一方保利視点では自分は間違っていない、正義感で真っ直ぐ前を向きでも従わなければならないもどかしい態度。この時点で沙織の怪物は学校や教師、保利の怪物はいじめをやってるかもしれない子の親(沙織)や組織、

それぞれの正義や感情一つで見える景色も違うといった心理描写が面白かった。

ラストの原っぱを走り回ってエンディングへ行くシーンは、あまり説明もなく考えさせられるタイプの作品なのでわからないが、壊れた古い電車と使われなくなった線路、柵の向こうはおそらく行き止まり向こうに見える新しい線路と電車、あれは生まれ変わった姿で二人は亡くなってしまったんだろうと思った。


スズキロク
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名古屋徘徊記 – 全ての接客は大将の笑顔にあらず|八十九段

前回の続きです!名古屋のご当地モノをひたすら求めて…。ひつまぶし花岡の帰り際の大将っぽい人の太陽のような笑顔が象徴的でした。

▶️▶️名古屋ホテルへ、レイジーなんちゃらの接客の悪い店、中日に比べ巨人のSNS関連が酷い、全然美味しくない珈琲店、タダ乗り通報など

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ベルーガ拝みに名古屋港水族館へ – 2時間遅れた新幹線に乗って|八十八段

名古屋港水族館のベルーガをずっと見たいと思っていて今回初めて名古屋へ行ってきた。しかし新幹線が2時間遅れてしまい暗雲漂う道中に…。ベルーガや名古屋港水族館はどうだったのか。次回はホテルや食事、名古屋街中の話です。

▶️▶️名古屋港水族館へ行った道中の話(後半へ続く)など

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mihoの乱 – あるインスタグラマーの華麗な乗り換えと承認欲求について|八十七段

何年か前からちょくちょく追っていた、インスタグラマー風の女性『miho』彼女は付き合う男性が変わるたびに、インスタの鍵をかけ以前の男性の痕跡を真っさらにして鍵が開いた時には違う男性との写真に変えるという習性がある。今回新たな鍵事案が発生、試行錯誤の末、ストーリーが動き出す…。

▶️▶️サブカルの男、キツネ目の男、鼻の穴の男、家庭的なカレーライス、うっすいフェットチーネ3枚、都内高級ホテル、映え込みの恋愛、やはり金か、おまけもえかザウルス、ジュリディの和菓子問題など

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【レビュー】映画「正欲」- 多様性の本当の意味は何なのか

朝井リョウのベストセラー小説『正欲』を映画化した作品。特殊性癖の人たちを中心に描かれた話で人と違うことや属性、人間関係などが複雑に絡んできます。「多様性」と謳われているものの、自分たちは輪の外にいるのではないか?普通であることが正しいような社会で生きていかなければいけない生きづらさ、怒り、ジレンマが描かれている。

主人公は新垣結衣演じる桐生夏月。所謂「水フェチ」というもので、これは「アクアフィリア」というもので水や水中の状況に対して性的な魅力や嗜好を感じることを指し水辺の環境、水中での活動、あるいは水を使ったプレイに対する特別な魅力を示すことがあるというもの。夏月もYouTubeで水が流れる動画をベッドで見ているシーンが割と冒頭にあった。そのアクアフィリアを隠し寝具の販売員として社会に擬態しながら生きていく。おそらく同じ趣向の同級生の佐々木くんとの再会で人生が動き出す。

衝撃だったのはこの新垣結衣が演じる桐生夏月、「あれ?この人は本当にガッキー?」と思うほどの新境地。心の闇、怒りのようなものが表情に出ていて「新垣結衣マジか」と思った。公式に書いてあった「今までに見たことのない表情を魅せる」とはまさにこのことだった。

他にも稲垣吾郎が演じる寺井啓喜は所謂、堅い親父で妙な安心感があった。不登校の息子が同い年のYouTuberに影響され、自分もYouTubeを始めて進み始めるという話だ。教育方針の違いから家庭が揺れる。家族で食卓を挟んで会話をするシーンは映画「半世界」の主人公高村を彷彿とさせる。大学生の神部八重子(東野絢香)は男性恐怖症で男性が性的な目で女性を見ることが受け入れ難く、今にも壊れてしまいそうな危うい雰囲気が出ていて生々しい。彼女もまた葛藤しながら人を好きになる。

それぞれが社会という大きな枠の中で生き、徐々に繋がってゆく。こうした性的趣向が社会的にどういった風に捉えられているのか考えさせられる、個性的でそれぞれが抱えている問題が滲み出る描写で見応えのある映画だった。


スズキロク
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疲れた人たちに送る何の役にも立たない話|八十六段

年始から色々ショッキングなニュースが目立ちますが、全く関係ない話です。メール回は次回?

▶️▶️叫び(歌唱)、NBAにハマっている(ハチ)、富山ソフトセンターを見ている、町中華みたいな店に行ってみた、スプラコントローラーマジ投げ事件再び。、栄冠クロスのバランスが悪過ぎてパワプロくん人形ぶっ壊したのはデコピンじゃなくて大谷説、急に金の真面目な話など

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【blog】「Palworld / パルワールド」をやってみて思ったこと – キャラ模倣問題や売れるゲームとは

巷ではポケモン×ARKなど言われてる「パルワールド」が気になって購入してプレイしてみた。キャラの模倣問題など批判的な部分もありつつ日本のゲーム会社で新規のIPをプラットフォームに組み込ませる難しさや国産ゲームの未来など、1月22日現在でSTEAMで300万本売れたらしいく興味深い走り出しである。XBOXにてプレイしました。

パルワールドとは株式会社ポケットペアによって開発され2024年1月19日に発売されたゲームです。『広大な世界で不思議な生物『パル』を集めて、戦闘・建築・農業を行わせたり、工場で労働させたりする全く新しいマルチ対応のオープンワールドサバイバルクラフトゲームです。』STEAMより

開発に至るまでの経緯のnote(https://note.com/pocketpair/n/n54f674cccc40)を読んで気になっていました。

10時間ほどプレイをした結果わかったのはポケモン×ARKゼルダ原神マイクラFortnitePUBGであった。ヒット作の要素を上手く取り入れた作品。悪く言えばある部分は「パクり」と言われてしまうかもしれない。ゲームのインターフェースはあのゲームっぽいなとか効果音や環境音はブレワイやティアキンやっていたら既視感ありありだったものの、クラフトや収集要素など普通に楽しく遊べる部分もありあったがどこか広く浅くとった感じで薄かった。

一人でプレイしているので多人数だともっと違う遊び方ができるのかもしれないが、一人で黙々とやるにしてもギミックにかけているような気がする。例えばパルが配置されたように存在しているためそこにいる感覚がない。かと思うと倒したパルを餌にしようと違うパルがやってくるすごく唐突に感じてしまった。全体的にキャラクターの動きが気になって没入できない感じがあった。マイクラのようにブロックやドットの世界観だったなら気にならなかったかもしれない、可愛いキャラクターを殴打することに違和感を感じてしまい慣れなかった。「あれ?他のゲーム(ポケモンなど)ってどうだったっけ?」と考えさせられた。

キャラクターがポケモンのキャラに似ているのも法務的にはクリアになっているとインタビューであったが、パルワールドのキャラクターがグッズなどになった時にかなり問題ありそうだ。近年ポケモンライクという言葉もあるようでネクソモンなど影響を受けた作品もあるようだが、一部のパルはポケモンに寄せすぎではないかと思った。パルを捕まえるときもパルスフィアという丸い玉を投げるのだが、なぜこの手法でなければならなかったのか?意図的にモンスターボールのような仕様にしているのかすごくモヤモヤしてしまった。ポケモン好きな人が見たら嫌悪感を抱いてしまいそうだ。もしかしたらパルワールドのコンセプトは「ポケモンを逆算して無いものを足していく」考え方だったのかもしれない。改めて任天堂、ゲームフリークなどのゲーム、キャラクターのクオリティは凄まじいなと思った。


スズキロク
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【blog】ASUSの15.6インチのポータブルゲーミングモニター「ROG Strix XG16AHPE」を半年使ってみた感想

ゲーミングモニターというものを昨年5月に初めて購入しました。購入のきっかけはテレビではなくデスクでゲームをしたいと思ったからです。そのため小型のディスプレイはないかと探していて、たどり着いたのが15.6インチのこのASUS(エイスース)ROG STRIX XG16AHPE 15.6インチでした。ゲームをプレイする上でゲーミングディスプレイがなぜ必要なのかよくわからなかったのですが。こちらをを購入してみて全く違うことに驚きました。Nintendo SwitchとXBOXでゲームをしています。

購入して一番よかった面は何と言っても場所を取らない、キックスタンドが背面についているのでどこでも置ける。デカいiPadでプレイしているような感覚だと思ってもらうとイメージしやすかもしれない。薄さも11.8mmなのでゲームをしないときに立てかけておけば良いし、置き場所を考える必要がないのはめちゃくちゃいい。これだけでも購入してよかったと思っています。(背面のスタンドの裏のデザインは好きではない…)

ゲームのプレイ面で言うと、普段は仕事でLG ultrafine 5K displayを使用していて、こちらでもゲームをプレイした事があって比較していくと、滑らかさというか反応速度が段違いに感じました。これはリフレッシュレートと反応速度によるものでリフレッシュレートはLGが60mHz、XG16AHPEは144mHz、応答速度もLGは14msでXG16AHPEは3msと早くゲームに特化している事がわかります。購入するにあたってXG16AHPEの応答速度が3msというものが遅いというレビューもあったので気になっていたのですが、自分には全く問題ないように思えます。

デメリットと言えばバッテリーが7800mAhでフルグラフィック状態で3時間と結構すぐ充電が必要となる。電源アダプターは常備で問題ない。スピーカー音量が最小でも少し大きく感じる。こちらはイヤホンやヘッドフォンをすれば問題がない程度です。ちなみに有線のイヤホンジャックが左側のため若干線が手に引っかかるのも気になった。

購入して半年、値段は少し高め(5万くらい)だったがいい買い物だったと思える。

ASUS(エイスース)ROG STRIX XG16AHPE 15.6インチ(amazon)


スズキロク
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【レビュー】Netflix「ある告発の解剖」- 特権階級の性加害を扱った法廷ドラマ

Netflixリミテッドシリーズ「ある告発の解剖」(原題:Anatomy of a Scandal)を観た。エリート政治家のジェームスをルパート・フレンドが、その妻のソフィーをシエナ・ミラーが演じています。ルパート・フレンドはホームランドのクイン役で自分も大好きな役だったのでまた新たな一面を観る事ができてよかった。全6話の構成です。

舞台はイギリス、結婚して12年子供が2人、政界で最もモテる男が若い助手の女性と約5ヶ月間の間、関係を持ってしまいそれがニュースになるという内容で。英国の上流階級と政治エリートの暗部を掘り下げ、権力、性別、そして正義に関する複雑な問題を浮き彫りにします。視聴者は、真実と偽りが交錯する世界で、一つの告発がどのようにして多くの人々の運命を変え得るのかを目の当たりにします。

ジェームスはただの火遊びだったと方々に謝罪するも女性はレイプされたと告訴する。実際にどの程度何があったのか?合意はあったのか?双方の意見が食い違う。そこから何十年も前の出来事や政界を巻き込んだ一大事にまで飛び火していく。法廷では男性側の視点、女性側の視点のそれぞれがはっきりと演出されている。その何十年も前の出来事のシーンで使用される楽曲が前回のこれまた(Netflix「ザ・クラウン」のレビュー)BlurやPulpなど自分の学生時代の楽曲で時の流れを感じるとともに、

このドラマの主人公達は自分と同世代くらいの設定なのかと改めて考えさせられる内容だった。昨今、日本でも騒がれているダウンタウン松本人志氏の女性問題にも共通する部分が多くあり、感情移入しやすい内容なのかなと思う。裁判によって有罪が確定するまでは無罪であると推定されています。しかし有名人ともなると記事になったことで即断罪されてしまい様々なところへ飛び火していく。

個人と公共の道徳、信頼と裏切りの間で揺れ動く人々の心理的な葛藤を巧妙に描き出していてとても見応えのある作品だった。一点、ジェームス・ホワイトハウスという名前が多少紛らわしい部分があったがこれは作者の意図的なものだろうか。重厚でかなりの良作でした。


スズキロク
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【レビュー】映画「福田村事件」- 震災後のデマにより実際に起こった行商団9人の虐殺事件

U-NEXT(ユーネクスト)のレンタルで映画「福田村事件」を観た。

福田村事件は大正12年9月6日、関東大震災の5日後に当時の千葉県東葛飾郡福田村で起きた、香川から来た薬の行商団の9名が地元の自警団によって殺害された事件だ。監督は「A」や「FAKE」、「i-新聞記者ドキュメント-」などドキュメンタリー作品で有名な森達也。

出演は井浦新、田中麗奈、永山瑛太、柄本明、ピエール瀧、水道橋博士、東出昌大など豪華なキャスト。

震災の混乱などで関東各地で「朝鮮人に気をつけよ」「夜襲がある」といったデマが広がり。自警団が香川からの行商を問い詰め、言葉やイントネーションが違うなど言いがかりをつけ、その結果集団で9名を殺害してしまうという内容だ。異常なまでの緊張と興奮状態がよく現れていて、特に水道橋博士演じる自警団の一人「長谷川」は強烈だった。彼は帝国在郷軍人会(退役軍人などで結成された組織)で故郷に戻り自警団として活動していた。そのため、ある種の誇りや使命感のようなものが制御できずヒステリックな状態に陥り判断を誤った。「制御不能」な状態が村全体を覆った形であった。

先頃の令和6年能登半島地震の際にもXなどを中心にSNSで人々の不安を煽るような偽情報が多く投稿された。そういった情報が拡散され救助活動や避難に混乱が発生する、村で起きた「制御不能」な状態が常に起こりうる構造になっている。いつの時代においてもおそらく起こってしまうことなのだと実感させられる。

映画は単なる娯楽を超えて、我々の心の奥底に潜む深い疑問に火をつける。『福田村事件』はまさにその種の作品だ。この映画は、表面上は解決されたかのように見えるが、実際には多くの謎と疑問を残す歴史的事件を描いている。監督の緻密な手法と俳優たちの圧倒的な演技により、観る者は事件の真相に迫る旅へと誘われる。歴史的な記録映画。

https://www.fukudamura1923.jp/


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